2011年5月21日土曜日

「基地城下町」三沢も揺れる 普天間移設推移注視

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の行方を青森県三沢市が注視している。連立政権の国民新党は3月、移転先候補地の一つに米軍三沢基地を挙げた。鳩山由紀夫首相が示した全面県外移設を断念する方針に沖縄では反発と失望が広がり、今後、三沢の選択肢が再浮上する可能性も残る。昨秋には三沢基地配備のF16戦闘機の撤収が取りざたされた。基地が地域経済を左右し、交付金?補助金が市財政を支える「北の基地城下町」も、在日米軍再編に揺れている。

<「慎重に判断」>
 「普天間の直接の移設先ではなく、分散移転先としての可能性はある」。国民新党の下地幹郎政調会長は1月、三沢基地を視察し、こう語った。
 同党は3月、米軍嘉手納基地(沖縄県)のF15戦闘機部隊を三沢基地に移した上で、普天間飛行場を嘉手納基地に統合する案を提示した。
 直後の三沢市議会3月定例会。種市一正市長は「国からの要請があれば、慎重に判断しなければならない」と述べるにとどまり、今も態度を明確にしていない。

<F16撤退懸念>
 それには理由がある。昨年9月、米政府が三沢基地に配備している約40機のF16撤収を日本政府に打診していたことが明らかになったからだ。
 F16は1985年に配備された。F16配備は施設整備、米軍向け住宅建設など、地域に多くの経済効果をもたらした。騒音などの「苦痛」も伴ったが、代償として多額の交付金?補助金を受けてきた。
 市幹部は「F16の撤退は基地の全面撤退と同じ」と言うが、経済効果は既に薄れつつある。
 昨年9月、米軍は兵士を原則として基地内に居住するよう義務化した。基地を除く市内の米軍向け住宅は約1000戸。家賃収入は約14億円とされる。市は基地内居住が進めば、約8億円の減収になると試算する。

<補助金減額へ>
 米軍施設提供にかかる交付金はほぼ一定の約20億円で推移しているが、市の事業などに支払われる補助金の見通しも厳しい。
 市は老朽化した市民病院の移転新築事業費の半分、約65億円を補助金で賄い、建設は11月に終了する。基地周辺住民の騒音対策として進めた家屋の移転事業も本年度でめどがつく。当然、補助金は減額される。
 仮に分散移転先の一つとなれば、財政支援は増えると予想される。ただ、三沢基地周辺町内会連合会の岩本芳勝理事(72)は「騒音や危険な飛行訓練に悩まされてきた。これ以上の負担は論外だ」と住民感情を代弁している。


引用元:アトランティカ rmt

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