手足のみで壁や岩を登る「クライミング」は、国体への採用や室内ジムの普及で競技人口が急増し、人気の岩場には多くのクライマーが訪れる。一方でマナーや事故などのトラブルも起きており、県内も例外ではない。そこからは、新規参入スポーツのあり方だけでなく、「冒険」とどう向き合うのかという日本人全体が問われる課題も見えてくる。【中西啓介】
◇神体の岩、人気スポットに 地元住民との摩擦で自粛
山梨市西の住宅街にある大石神社。小高い山の上にある神社には、社名の由来になったとされる高さ12メートル、周囲68メートルの「神体石」をはじめ、多数の大きな花こう岩がそびえる。
「大石さん」と地元の人が呼ぶ、これら境内の岩にクライマーが登り始めたのは8年以上前のことだ。著名なクライマーが登ったことがきっかけで口コミで広まり、5年ほど前からボルダリング(命綱なしで約5メートル以下の岩を登る競技)の人気スポットになった。
しかし、近くの農家の男性(80)は「県外ナンバーの車が何台も来た。みんなで守ってきたご神体に、由来を知らない人が登ったりコケをはがしたりするのは許せない」と話す。
こうしたクライマーと地元住民の摩擦は「アクセス問題」と呼ばれている。
昨年11月下旬、大石神社でのアクセス問題は、地元クライマーを通じて日本フリークライミング協会(JFA)の知るところとなった。JFAからの連絡で、同市内でクライミングジムを経営する内藤聡さん(33)が地元区長に詳しい事情を聞いた。
内藤さんによると、手に付ける滑り止めのチョークが岩に残って、「落書きされた」と思われたことや、岩のコケがはがれたことが反発を招いた。JFAはルールの明確化やマナー向上の呼びかけで、事態打開を図ろうとしたが、住民の反発は根強く、結局は同神社でのクライミングの自粛を呼びかけることになった。
内藤さんは言う。「まだまだマイナーなスポーツで、受け入れられていないのが現状です。残念ですが、地道に理解を求めていくしかありません。山梨には国内有数の岩場があり、地域に根ざしたスポーツになれるはずなのですが……」
クライミングの先進国、米国ではアクセス問題対策専門の団体が活動しており、1万人を超す会員が支援する。JFAも05年度から問題解決のための予算を組んでいるが、たき火によるぼや騒ぎや、転落による死亡事故などをきっかけに、立ち入り禁止になる岩場は全国で後を絶たない。
しかし一方で、かつてアクセス問題が起きながら、急激な競技人口増加をチャンスとして、クライミングを地域振興につなげようとする取り組みも県外では始まっている。県境に近い東京都奥多摩町の岩場だ。=つづく
3月28日朝刊
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引用元:SEO对策 | 福岡市
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11 年前
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